Tales of Graces
□乙女心と青い空
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「シェリアー話ってなに?」
にこにこと笑いながらやってきたパスカルに、シェリアはおどおどしながら問う。
「実は、前からお聞きしたいことがあって…」
「なあに〜?はっきりすっぱり言っちゃってよ〜あたしも忙しいんだからさあー」
言うわりには全く忙しそうには見えない。むしろ暇が潰れて楽しんでいるように見える。
そんなパスカルに急かされてシェリアは意を決して再び問う。
「あ、あの、私がみんなに合流するまで、その、えと……っパ、パスカルはアスベルとそういう関係になったりとかそういうことしたりし、した…のかなって……」
へ?と言わんばかりにパスカルは口を開けている。
しかしそれは一瞬でまたあの笑顔になった。
その笑顔になぜだか安心感が湧いたが、それも次の一言で一瞬で消え失せた。
「んふふ♪どうだと思う〜?」
どう思う…って、え?
何かを企んでいるとは思えないほど自然な笑顔をしているパスカル。
疑いをかけたいが、かけにくい。
そこでさらに質問をしてみた。
「じゃ、じゃあ!パスカルは、アスベルのことどう思うの?」
「ん〜あたしと似てる感じかなあ〜?なんかさ、近いんだよね!いろいろと!」
パスカルはさらりと答えた。
似てる…?
近い…?
どういうことなの?!
「あ、そう…なんだ。それじゃあ…っ」
「おーいパスカルーちょっと来てくれー」
他にもたくさん聞きたかったけれど、アスベルがパスカルを呼んだ。
パスカルはごめんね、とだけ言って私の前から去っていった。
はあ、とため息をつく。
遠くからはパスカルとアスベルの楽しそうな声が聞こえてきた。
…泣きそう。
私、何してるんだろう。
目の奥が熱い。
下を向いたら何かがこぼれそうだったから上を向いた。
空はどこまでも青くて、空だけが私を包んでくれた。
泣くな。
そう言われた気がした。
泣くな、シェリア。
うん、私は泣かない。
だって私が頑張らなきゃあなたは気付いてくれないもの。
だから私、頑張るよ。
「無理はするなよ」
「うん……って、え…?」
振り返ると、アスベルがいた。
「な、んでアスベルがここに…?」
「居たら悪いのかよ。それに今日の買い出しに付き合ってって言ったのシェリアじゃないか」
そういえばそんなことを言った気がする。
やるじゃない私!
でも…
「パスカルとは、もういいの?」
え?ああ…と少し間を置いてからもう大丈夫だと返された。
「それより、早くしないと帰りが遅くなるぞ?夜の魔物は危険だからな」
「それなら大丈夫よ。そのためにアスベルと行くんだから」
冗談混じりにそう言うと、アスベルは少し困ったように笑った。
「はは…あんまり期待はするなよ?」
もちろん、私も戦うから平気よと付け足すと、そうならないように早く帰ろうと言われた。
でも、ごめんなさい。
やっぱり私はあなたといれる時間が好きなの。
だからきっと帰りは危険になるかもしれないから戦う準備しておいてね。