ラピスラズリが映す世界
□堕天刑事
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「う…」
「瀬文さん、大丈夫ですか?」
ようやく目を覚ました瀬文に瑠璃は駆け寄る。
「天見さん…ご無事でしたか?」
「はい。」
瑠璃も自分と同じように気絶させられたと思っている瀬文は瑠璃を心配した。
瑠璃は特に何もされていないので無傷であったが、特にそれを言う必要もないだろうと思い、ただ頷く。
「当麻は?」
「まだ気を失っています。そろそろ起きると思うんですけど…」
瑠璃はそう言うと当麻に近寄り、その肩を叩く。
「紗綾、大丈夫?」
「んー…ふわぁ…」
起こされて大きな欠伸をする当麻はまったく緊張感が無く、これだけ大変な事態にも動じていないように見えた。
そしてゆっくりと立ち上がると、ペットボトルの水をゴクゴクと飲み始める。
「プハッ」
「何でそんなに落ち着いてるんだ。お前、何か知ってるんじゃないのか。」
瀬文はまったく事態を呑み込めておらず、逆に冷静な当麻は何か知っているのではないかと思っていた。
「アタシは何も知りませんよ。ただ、あたしたち…気を付けないと消されるかもしれませんなぁ。ねぇ、先輩。」
「…そうかもね。」
当麻が寝ていた側にしゃがんでいた瑠璃はゆっくりと立ち上がる。
「…瀬文さん。」
「何でしょうか。」
リフトの方へ向かうと、リフトを上に上げながら瀬文に話しかけた。
「逃げるなら、今のうちだと思います。これ以上先へ行けば…もう戻れません。」
「それは…どういう意味でしょうか。」
瀬文がそう聞き返すと、リフトが未詳にやって来た。
瑠璃はそれに乗り込む。
「知れば、引き返せませんよ。」
「え…」
驚く瀬文を放置して、瑠璃は降りていった。
コツ コツ
未詳から情報局に向かっていた瑠璃は途中で足を止める。
ガンッ
「痛…やりすぎた…」
すぐ横の壁を殴ると、想像以上に痛かった。
壁に寄りかかり、スーツの内ポケットから手帳を取り出す。
中を開くと、一枚の写真が入っていた。
瑠璃の部屋に飾ってあるのと同じ、男性と女性が映っているものだ。
「晶…」
そう呟くと、瑠璃は唇を噛みしめた。
「…少しだけ、私に力を貸して。紗綾を守りたいの。紗綾は…光だから。」
そう言って手帳を閉じると、再び内ポケットにしまう。
そして決心したように「よし。」と気合を入れなおして情報局に戻っていった。
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