That's what I'm here for
□こうちゃん
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今まで私は、家族以外から誕生日を祝ってもらったことがない。
『おめでとう』とか、そんなこと言われた覚えがない。
でも、孝作は覚えててくれてた。
双子の、お姉ちゃんの‘恋人’は、ちゃんと覚えててくれてた。
お姉ちゃんが死んだ6月13日は、私の誕生日でもあった。
お母さんは泣き崩れ、お父さんはお母さんの肩を抱いていた。
事故だった。軽トラックが歩道につっこんできて、その事故に巻き込まれたらしい。
手には私にあげるはずだったプレゼントが握られていた。
何時間かして、孝作が病院にやってきた。
息を切らしているとこをみると、かなり急いできたらしい。それもそうだろう。恋人が死んだのだから。
「あ…」
なんて言えばいいのか私にはわからなかった。言葉がでてこなくて、ただ立ちつくしている私に、孝作はそっとつぶやいた。
「誕生日おめでとう」
なんて人だろう。恋人が死んだというのに、まだ私の誕生日おを覚えててくれていた。
そのあと、確か私は泣き崩れた気がする。
なぜだろう、あまり思い出せない。
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