Novel.V

□二文字の言の葉
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ドキドキする。

君が笑うたびに
君が喋るたびに
君が奏でるたびに

胸が熱く高鳴る

君がそばにいるだけで…


放課後の音楽室。
たくさんの音の中で聞こえた君の音色に耳を傾ける。
君の音色がすき。
やわらかなクラリネットの音色。

「火原先輩?」
「…へっ!?」

気づけば目の前には不思議そうな君の顔。
どうやらウトウトと意識が飛んでいたようだ。
そして気がつく。
彼女の顔が近くにあること。

「ふっ、冬海ちゃん!?」

ふわりと香る甘いかおりにクラクラする。
多分いま自分の顔はリンゴ並みに赤いに違いない。
彼女が心配そうに顔を覗く。
こんなに近くで君を見るのは初めてで眩暈がする。

「あ、あのボーッとしてらしたから。
調子よくないんじゃないかなって…」

あわあわと慌てながらそう言う彼女。
保険医を呼んで来るという彼女に
「大丈夫だ」というと信用されていないのか眉間にしわが寄っている。
ダメだなぁ俺。
好きな子に心配かけて
言いたい言葉がうまく出てこない。

言いたいことがあるんだ
たくさん君に伝えなくちゃいけないことがあるんだ。
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