Novel.V
□鈍感なHONEY
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世の中いい人の集まりじゃない。
お前みたいにお人好しで純粋な人間の集まりじゃないんだ。
あんまり…男を信用するなよ。
「あっ、あのっ」
「なんだい?冬海さん」
放課後の練習室。
もうすぐ完全下校の時刻だから周りの練習室に人の影は少ない。
いま居るのは多分…俺とお前だけ。
「な、なっ、なんでっ!わっ、私抱きしめられてるんですかっ!?」
純粋培養の温室でお育ちになったお嬢様。
手を出す気なんてさらさらなかった。
だすなら時間をかけて、逃げられないように追い込んでと思っていたのに。
「さぁ?何でだろうな。」
「ひぁっ!」
真っ赤になった耳に甘くかみつくと小さな悲鳴。
昔の人見知りの激しい彼女なら確実に気絶でもしているだろう。
ねぇ、これも…土浦のおかげなわけ?
出会った当初
俺に微笑まれただけで茹で蛸みたいに真っ赤になって
俺に手を掴まれただけで思考停止して固まっていたくせに。
気に入らない
気に入らない
気に入らない
気に入らない
「俺の心をこんなに乱すなんて気に入らないよ」
「え?」