Novel
□どうしようもない夜は涙に濡れる
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※このお話はちょっと暗めな上炎様が浮気性です。
コレット嬢も可愛い性格じゃないです。それを踏まえた上苦手な方はBACKしてください。
アナタはするりと、私がアナタを掴む手をみないふりをして消えてしまう。
今日もアナタは当然のように私の隣に帰ってくる。
「アンジェ」
低くて艶やかなアナタの声が狭い部屋に響く。
温かな大きい手が私の髪を撫でて目がさめる。
ギシリと二人分の重みにベッドが悲鳴をあげて時計を見れば深夜の2時をさしている。
窓の外はまだ静かな闇を月が照らしている。
(…まただ…)
「今日はご機嫌ななめなのか?」
「…夜中に起こされたら機嫌も悪くなると思いますけど?」
自分の声と思えない冷たい声に自分で驚いた。
笑顔はうまくつくれていますか?
声は震えていませんか?
彼が気が多い男性だっていうのはわかっていたの。
それでも私は好きだった。
だから見ないふりをして笑顔を作って
いつのまにか仮面をつけるのが上手くなってしまった。
アナタは知らないでしょ?
私が泣いていたなんて。
私が逃げなかったら…目をそらさずにいたら
私たちの関係は変わっていたのでしょうか…?