今昔を生きる少女
□第玖話 取捨選択
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「…グリムジョー…」
「久遠、お前はどうしたいんだよ?」
「私、は…」
久遠は再び俯いてしまう。
消え入りそうな声を絞り出す。
「分からぬ…。分からぬのだ、グリムジョー!」
乾いた瞳が再び潤み始める。
「久遠…」
「しかし…」
久遠はゆっくりと顔を上げる。
「私はお前と、グリムジョーと共に生きたい…!」
言葉と一緒に、また涙が伝い落ちる。
“生きたい”…心から願ったのはこれが初めてだった。
存在理由も分からずに過ごしてきた日々。
昔の自分は何処にいるのか、ずっと自問してきた。
“十三廷には入らぬ”
“私は私の道を行く”
ああ、そうだ―――……。
平和であることに溺れ、何もかも見失いかけていた。
掟も死神も関係ない
最後は自分でどう動くか、だ。
(たとえこの選択が誤っていたとしても…私はそれを悔やむことはないだろう)
→第拾話