今昔を生きる少女
□第伍話 二人を繋ぐ鎖
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一歩、破面が久遠に近付く。
久遠は身構える。
―――ザッ、
砂を蹴り上げ、一歩、また一歩と近付いてくる。
砂を鬱陶しそうに一瞥して、また歩き出す。
「な…っ止まれ貴様!!」
敵意のない澄んだ…蒼い瞳だった。
破面は素直に止まった。
「…グリムジョー」
ボソリと言ってまた一歩踏み出す。
久遠はきょとんとしていた。
そんなことはお構いなしに、どんどん破面は近付いてくる。
「とっ止まれ破面!」
―――こんな時、白哉だったらとっくに斬りかかってる。
久遠は思った。
けれども久遠はその破面に切りかかる気には、どうしてもなれなかった。
「――――ッ止まれグリムジョー!」
久遠がグリムジョーの名前を呼んだのは、二人の距離が、息がかかるほどに縮まった頃だった。
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