今昔を生きる少女
□第肆話 過ぎた刻
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一護とグリムジョーは二、三言葉を交わし、グリムジョーは楽しげに腰の刀に手をかけた。
「チッ…」
そこで何かに気付いたのか、刀から手を引いた。
満身創痍の一護を放置して久遠の目の前に立つ。
「……」
そして何も言わず、久遠の髪を彩っていた髪留めを二つとも外した。
「な…にを!返せ!グリムジョー!!」
「…ンなに大事かよ、こんなモンが」
それだけ言ってまた、宙に浮いた。
そしてそこに現れたのは―――元九番隊隊長東仙要の姿だった。
「やっぱりてめぇか東仙…!何でてめぇがここにいやがる?!」
「何故か、だと?解らないか本当に?」
東仙は噛み付くように怒鳴り散らすグリムジョーの言葉など気にも留めない。
「東仙!貴様…!」
久遠は東仙を見つめた。
縁側の、寂しげな左陣の背中がふと脳裏に浮かんだ。
「藤堂、お前にも解るときが来る……いずれ…」
「来てたまるか!左陣の心も汲めぬお前の気など、知りたくもない!」
東仙は久遠の叫びに何の反応も示さない。
「左陣の気持ちを、お前は考えたことがあるのか…っ!」
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