海色の瞳
□じゅうはち。
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「…ウミ、戻るぞ」
「…!」
な ま え 。
私は吸い寄せられるようにグリムジョーの真下まで歩いた。
振り返って、二人に言う。
「ごめんなさい、戻ります。私、この世界の人間じゃないので」
ケイゴくんには帰ったって、伝えたげてください。
そう言うと、一角さんは義魂丸のケースをしまった。
「…今回だけだ。次はねェぞ」
「ありがとうございます」
「また会えるといいね」
「…はい」
「次はねェっつってんだろーが弓親ぁ!」
ツンデレ一角さんと、柔らかく笑ってくれた弓親さんに頭を下げるとグリムジョーが私の腕をとった。
空に開いた黒く深い穴に足を突っ込み、進む。
振り返ればそこにもう光はなく。
真っ暗だけど、歩けることに気付いた私はグリムジョーの後を追った。
「…怪我は」
「へ?」
「怪我はねェのか訊いてんだ。…人間はヤワなんだろ」
図々しいと思ったけど、私はグリムジョーの右腕にくっついた。
グリムジョーはそんな私を振り払うワケでもなく、ただどうした、と言葉をかけてくれた。
「怪我はないです。けどなんか…寂しくて。すいません、こんな頼りない従属官で」
「…てめぇに多くを望むつもりはねェ。自分を卑下にすんな」
「う…。…わか、まし…たっ」
優しすぎるんだよもうー!
ボロボロ零れる涙でグリムジョーの腕を汚すのは気が引けて、顔を背けて目を擦った。