海色の瞳

□じゅうご。
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「…んー?」

布団に潜り込んでからどのくらい経ったのだろう。
寝れば治る体質の私は、正直三時間も寝ればスッキリ完治だ。
目を何度かしばたいて、体を起こした。
熱もすっかり…。

「、タオル?」

体の横には私の体温で温まったタオルがあった。
体を捩ったりした際に、額からずり落ちたんだろう。
部屋を見渡して思った。

…グリムジョーがいない。

愛想を尽かして出ていってしまったのかしら…。
そんなアフォーなことを考えていると。

「…うるせェ」
「っわ」

低い声と共に、ベッドへ逆戻り。
もぞもぞと動く布団の中からグリムジョーが不機嫌そうに私を見ている。
寝起きらしく、目は薄く開かれているだけ。
どうやら私は彼の腕に引っ張られたことによりベッドに戻されたようだ。
…ええと、近いですグリムジョーさん。
ていうか。

「ちょ、っと…あのグリムジョーさん服は」
「お前が熱ィから脱いだ」

言いながら少しだけ眉を潜める。
鼻血が、出そう。
うん。本気で。
温かい手が額に伸びてきて、再び布団の中へ戻っていった。

「下がったか」
「ご、ご迷惑おかけしました」
「これからは此処で寝ろよ」
「ぶっ!」

枕元に置かれた小さなコップの中身を口に含んでいた私は、それを盛大に吹き出してしまった。
ゴホゴホと咳き込む私を余所に、グリムジョーはすうすうと寝息を立て始める。
…いびきとかNGな過ちは犯してないだろうな、私よ…。
零した液体を拭うために、私はそろそろとベッドから這い出るのだった。


(今のは寝ぼけてたんだよな…)




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