海色の瞳
□じゅうに。
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すやすやと寝息が聞こえた。
ワイスが無防備にも、私の膝の上で寝ている。
あどけない寝顔が私の心を癒す。
「…寝てしまったようだな…」
「可愛いですね…」
「初対面の君に懐いているようだ。君にもなにか通じるものがあるのを、ワンダーワイスは分かっているんだろう」
通じるもの。
……思いつかない!
そもそもそんなんあるのかー?
「そろそろ昼食時だ。グリムジョーを連れて、食堂へ向かった方がいい」
「はい。…いきなり押しかけたりしてすみませんでした」
頭を深々と下げると、そこに優しく東仙さんが触れた。
ゆっくり顔を上げれば、あの慈悲深い笑みがすぐ側にあった。
―――東仙さんはどうして藍染さんを推すのだろう。
そんな考えが頭をよぎったが、すぐに思考を入れ替える。
従属官として、精一杯グリムジョーにつくしたい!
「またいつでも来るといい。ワイスと、待っているから」
「…!ありがとうございます…」
最後に、私はポケットに入っていただけの飴玉を東仙さんに手渡して足早に去った。
方向音痴ではないので、割と普通に元来た道を戻る。
…グリムジョーの寝顔もあれくらい近くで見てみたい。