海色の瞳

□し。
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「人間。さっきの、本気か?」
「さっき…?ご飯一人は寂しいです発言ですか?」
「忘れてんならいい」

ここに来てから問題発言しかしていないので、いきなりさっきと言われても分からない。
食事を終えた私はソファに、グリムジョーはベッドに腰掛けていた。
…足の組み方がえろい(二回目)。

「お前、この世界の住人じゃねえよな」

唐突にグリムジョーは私に訊ねた。
私は珍しく思慮深いグリムジョーに内心驚きながら、頷く。

「分かります?」
「…何となく、だけどな」

やっぱりすげーんだな、破面って。
十刃って。
やや歯切れの悪いグリムジョーの言葉を少し不思議に思う。

「体調悪い…ですか?」
「…、っるせぇ」

ソファから立ち上がると寄るなと怒鳴られた。
…ごめんなさい、どえむで!
荒くなる呼吸、こちらを睨む潤んだ…海のように深い蒼。
…色っぽい。
いやいや違くて!

「だ、誰か呼びましょうか」

恥ずかしながら、私は病人の看病などやったことはない。
狼狽する私を一瞥して必要ねぇと言うグリムジョー。
でも私は要らぬお節介を焼くのは得意なのだ。

「誰も、呼びませんから…横になってください」

我ながら情けない顔をしていたと思う。

気付けなかった。

グリムジョーの片腕がないことに。

気付かなかった。

泣きたくても泣けない、そのココロに。



→ご。

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