海色の瞳

□いち。
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「つめたっ…」

先ほど空からこぼれてきた小さな雨粒は、今は土砂降りとなって大きな音を立てている。

よりによって何で今。

私はふてくされる。
学校からの帰り道に本屋に寄ろうと思ったのが、いけなかった。
あと五分も歩けば、市内で最も大きい本屋へ辿り着くというのに…。

「…最悪」

雨が降るなんて言ってなかった、と今朝の天気予報を思い出す。
得意気に全国的に晴れるっつってたのは、確か。
そこまで思考を巡らせて、私の体が一旦停止する。

「…っ…くしゅっ!」

小さな煙草屋の軒下で雨宿りの最中。
帰宅部、そして面倒くさがりな私がタオルなんて持っている筈がない。
これは本格的に風邪をひいてしまう…。
冷たくなってきた制服に身を包んだ自分。
その体を自ら抱きしめるようにしてその場にしゃがみ込んだ。

「寒…」


 


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