今昔を生きる少女
□第玖話 取捨選択
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選ぶことは、ソレと同時に捨てることでもある。
そんな言葉を昔、誰かに聞いた。
「…分からぬ…」
それが久遠の今の正直な気持ちだった。
グリムジョーに惹かれているのは確かだ。
しかしその手を取るということは…死神を、敵に回すということになる。
久遠は瞳を伏せた。
「誰もお前が、どうしなきゃいけねぇのかなんて聞いてねぇ」
「…え?」
澄んだ蒼に久遠を映し、ゆっくりと彼女に助言を与える。
「お前がどうしたいのか聞いてんだ」
闇の中に一条の光明がさした気がした。
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