今昔を生きる少女
□第肆話 過ぎた刻
1ページ/4ページ
久遠は追い切れないほどの早口で詠唱する。
彼女には分かっていた。
一護よりも自分が戦った方が分があるということを。
だが、ルキアを優先した。
「なんて愚かなのだ…私は…!」
ルキアの身を案じながらも、目は一護とグリムジョーを追っている。
一護はきっと卍解しても、グリムジョーには敵わない。
今は、まだ―――…。
「ガッカリさせんじゃねぇよ、死神!」
グリムジョーの声が響いた。
「卍解になってマトモになったのはスピードだけか?!あぁ?!」
砂煙の中から一護が見えた。
実際に放つのを見るのは初めてだったが、久遠は一護が何をしようとしているのか知っていた。
「…月牙天衝」
一護の斬魄刀『斬月』から放たれた黒い刃がグリムジョーを襲う。
思いもよらなかったのだろう、グリムジョーはその斬撃を腕のみでガードした。
上体に大きな刀傷が残る。
・