今昔を生きる少女

□第弐話 尊敬
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「朽木、久しいな」

「藤堂殿…?!」


二人が昔話を始めたところで一護は部屋の外に出た。

窓から見える中途半端な形の月がなんだか滑稽だった。

一護はルキアから久遠の写真を見せてもらったことを思い出す。

今の彼女は肩より少し長い髪を揺らしていて、写真の彼女は肩よりも短い髪を持っていた。


―――死神ってそんなに成長遅いのか…?





『何で写真なんか持ってんだよ。隠れファンか?』

『たわけ。コレは藤堂殿に頂いたモノだ』


二人の間に流れる沈黙。


『…はっ?!本人から?!』

『藤堂殿と会ったのは貴様と会うよりも後のことだ。…噂はかねがね聞いていたが』


ルキアに極刑の命が下った日、初めてルキアは彼女にあった。

そして毎日のように牢に来ては、たわいもない話をしたという。


『…私が、“兄様は私を殺す”と言ったとき、藤堂殿は私を思いっきりひっぱたいたのだ…』


懐かしそうに目を細め、ルキアは自身の白い手で頬を撫でた。


“白哉はお前の兄だ!妹を見殺しにするはずがない!”


「私がこの世に不要ではないということ。それを藤堂殿は教えてくれた」


“ルキア、生きたいんだろう?”

“光を求めるのは、人の性(さが)だ”

“罪を犯して死ぬことは、罪を犯して生きることよりもずっと、…罪深いと思う”



『藤堂殿を尊敬している』





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