海色の瞳

□番外編〜〇〇と絡もうW〜
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ルキアちゃんがなかなか帰ってこなくて少し寂しくなった私は、朽木邸から出ていた。

「…!」

近くの河川敷で独り言を零した。
真っ白い着物に身を包み、頭を結い上げた若い女性。
その隣の男は緊張しているのか、少しだけ頬が赤らんでいた。
朽木夫妻を見て、尸魂界でも夫婦になれたりするんだなあと思ったのは学生の頃だった…。
あのときは若かったな。
身体的にも、精神的にも。

「…いいなあ」

グリムジョーは知らないんだろう。
こっちの世界では夫婦になるためには色々あることなんて。
例えば挙式とか。
挙式とか挙式とか挙式とか…。
…いや、普通もっと他にあるけど。
自分の中に渦巻く考えを断ち切ろうと深い息を一つ吐いた。
別に結婚式挙げたいとかそういうんじゃない。
私はもう十分すぎるくらい大人で、(この時点で既に子供っぽい)そんな単純な思考回路じゃない。
念を押すが、あの人たちに触発されたとかそういうのでもない。うん。

「…お前…」
「へ?」

いきなり目の前に現れた一人の男。
どうやら先程の夫婦の親族やら何やらの席にいたようだ。
じっと見つめるその視線に耐えきれず正解を口にした。

「一角さん?」
「よ。生きてたんだなお前。虚圏に行った後輩もお前のこと知らねーから、てっきり」

一角さんはそこで言葉を切った。
この人親族とか絶対いないのに何であんな…普通に並んでたんだろ。
後輩って恋次か?

「私そんなヤワじゃないんで」
「つーか、お前は…強ェの?」

ちらっと私を見てから口元を綻ばせる一角さんにちょっとイライラした。
折角感慨に耽っていたというのに、この人はいつも邪魔ばかりする。

(みづ穂さんとの素敵なトークの予定は潰されたし、グリムジョーには喧嘩を売って怒らせるし…)




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