宍戸さん愛

□好きなの
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 二人っきりでゲームして、二人っきりで菓子を食べていると。
「・・・あ・・」
 やば・・。あと少しでねぇちゃん帰ってくるわ。その前に・・何か・・。
 気がつくと後一時間ほどで姉が帰ってくることに気づいた。
 忍足はそれに気づきおろおろしている。
「あ・・この本もってんのか?俺も好きなんだ」
「え・・」
 宍戸は本棚に突っ込んでいた小説を取り出す。
「おもしろいよな〜。お前、他にも読んでるのか?」
「あ・・うん・・」
 まぁ・・また機会あるよな・・。頑張れば・・。
「こっちもそうか?」
「え?」
 宍戸は奥にあった小説に手を伸ばす。
 そしてぱらぱらとページをめくって行く。
 だがページが進むたびに宍戸の表情が変わって行く。
「?」
 あれ・・何か置いといたっけ。
 忍足が首を傾げていると。
「え・・あ・・」
「何の本やった?同じ作者?」
 と宍戸のほうに近づいて行くが。
「え・・あ・・ああ・・あの・・」
「・・・・・?」
 宍戸の様子がおかしい。
「・・宍戸?」
 ・・・ちょっと待て・・。あそこにおいとったの・・って・・確か・・。
 忍足はさーっと青ざめる。
「忍足も・・男・・だからな」
「あ・・ああの・・」
「俺も兄貴いるから・・そんなのわかってる・・って」
「・・・・」
 あんまりわかってるようには見えないです・・。
 宍戸は明らかに動揺している。
 宍戸が、見つけたのは中学生が見てはいけない本。表紙がピンク色のもの。
 書いてあるイラストは可愛いのに中身は・・。
「あの・・そ、それ・・は」
「・・・・」
 宍戸は赤くなりながらぷいっと余所見をした。
「う・・」
 やばい・・。これはやばい!!
「あの・・勉強!!」
「え・・」
「勉強やて!保健の授業じゃ補えんとこあるから・・勉強」
「・・・勉強・・。って・・誰かにやるつもりなのか?」
「え・・・」
 ・・・・・・・・ど、どうしよう・・。お前に一球入魂したいなんていったら間違いなくたこなぐりや・・。
「好きな人・・いるのか?」
「・・・・・・」
「わ、悪い・・なのに俺、家に来て」
「ち・・ち・・ちょ・・」
 俺が好きなんは・・!
「お前に一球入魂したいんや!!」
「!?」
「・・・・」
 あ・・・・。
 やってもーたぁぁぁぁぁ!!!今のは心と本能が分離してて・・やから!!
 などという言い訳が聞けるわけがない。
「お、俺・・帰る・・」
 宍戸は青くなり立ち上がる。
「ちが・・違うんや!そんなふしだらな気分・・じゃなくて・・あの!好きやから・・好きなんや!お前のこと好き!」
 そういって勢いよく立ち上がった。だが、勢い余り・・。
「うわ!!」
「・・・・・」
 すべって床に顔面激突。
「っ〜・・」
「・・はぁ・・」
「う・・」
 宍戸の重いため息が俺の心に吹き付けられるわ・・。
「あの・・ごめん・・そんなこと伝えたいんやなくて」
 忍足は小さくなり呟く。
 宍戸は苦笑し、しゃがむ。
「だっせぇ奴」
「うぅ・・」
「でも・・お前のそんなとこ嫌いじゃないぜ?」
「え・・」
「天才って言われてんのに、その間抜けさがな」
「・・・・・・・」
 宍戸〜!!!
 忍足は感動のあまり言葉も出ない。
 だが、視線を上げようとした瞬間、視界にはいるもの・・。
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