宍戸さん愛

□好きなの
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 授業が終わり、忍足は宍戸のいる教室へ猛ダッシュ。
 今までの短距離走で一番いい記録だっただろう。
 そして教室の前でおとなしく待つ。
「・・・・・」
 ま、まだかな〜・・。はよ帰りたいわ。
 そわそわしていると・・。
「?」
 中でがたがたと椅子を引く音がし、挨拶が済んだのか生徒が出てきた。
 忍足はその中から宍戸を探す。
 すると・・。
「忍足!」
「あ・・」
「帰ろうぜ!」
 宍戸が忍足の背中を叩いた。
「あ・・ああ!!」
 叩かれたのでびっくりしたのか頬を紅潮させる。
「お前んちの近くコンビにあんのか?」
「あ・・うん・・。ある」
「じゃあ、そこでいいな」
 
 二人だけの帰り道。
 二人だけというのもあるかもしれないが宍戸はよく喋った。
 色々と部活のことも他愛もないことも。
 忍足はそれをただひたすら夢中で聞く。
 好きな人の話は何でも嬉しかった。
    
「あ・・ここ」
「あ・・そっかコンビニ!」
「何買う?」
「ジュース・・。何か新発売のやつあんだろ」
「ああ・・。じゃあ、俺菓子見て来る」
「うん」
 宍戸はさっさとジュースのところへ行ってしまう。
 忍足は菓子類が陳列してある棚へ脚を向ける。
「っと・・」
 確か、宍戸これすきやったよな。
 忍足は以前宍戸が喜んで食べていた菓子をとる。
「後は・・」
 どれがいいかな・・。量があるやつがいいか。
 忍足はもう一つとり、隣の棚へ。
「あ・・」
 そうや消しゴムなくなっとたんやった。
 文具の棚へ行き、消しゴムを取る。
「これでいいか」
 忍足がふと隣の棚へ視線をやると・・。
「・・・・・」
 あ・・・。
「・・・・」
 あるものが目に入る。
 それはそんなに大きくないもの。
「こ、これ・・」
 ゴム・・は・・・い、いらんよ・・な・・。あはは・・。そんな・・。
 忍足は赤くなり宍戸のところへ行く。
「何かあった?」
「ああ・・これ・・どっちがいいと思う?」
「?」
 宍戸が見比べていたのはプリンとヨーグルト。
「ヨーグルトのほうが体にいいんだけど・・プリン食べてないからさ」
「・・・・・・・・」
 忍足はじーっとプリンを見ている。
「忍足?」
「・・あ・・ああ・・ぷ、プリンでいいんやないかな・・」
「そだな。食べてないし」
「ああ・・濃厚ってかいてあるからおいしいと思うよ」
「濃厚ってうまいのか?」
「あ・・え・・・ああ!味が濃いからな」
「ふ〜ん・・」
 納得した宍戸を見て忍足は・・。
「・・・・・・・」
 ああ・・俺は何考えとんねん!!本当・・宍戸が濃厚な・・。
 あー!!あかん!!侑士!!いい子はそんなこと考えちゃ・・。
 忍足はもう爆発寸前だった。
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