Rain Boots

□Mynameis”NoName”
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「先輩…」
「…ど、した、志水…」
「…良い天気、ですね。」
「そう、だな…」
「先輩は、曲、決めましたか…?」
「うん…?ああ、コンクール、の…まだ、だなあ…」
「僕も、です…」

「…暖かい…な、志水…」
「そう、ですね…」

「なにあの三点リーダー使いまくりの会話。」
「かみ合っていないようで、ちゃんと通じてるしな…」
「全く。我が弟ながら呆れる。」
「は、お前に呆れたら終わりだな。」
「うるさいですね。いいじゃないですか!」
そう言い残し香穂子は携帯ブランケットを持ち己の弟と後輩の元へ歩み寄る。
この先は目に浮かぶ。彼女は呆れ顔で、しかし優しく微笑みながら手にしているブランケットを二人にかけるのだ。なんせこの行動を三日に一度の頻度で目にしている。さすがに覚えてしまったし、最初は嫉妬もしたが今となっては二児の親になった気分で見守ることが出来るまでになっになってしまった。
「ちょっと、ブランケットを引っ張らないで!梓馬先輩見てないで手伝って下さいよ!」
「分かったよ。」
「ううう…せっかくアイロンかけたのに…」
「はいはい。」

しばらくはこの麗らかな天気が続けば良いなんて思ってしまった。
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