イリア総受け小説

□幼い時は
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オレはあの時はまだ若かった。リカルド氏ともまだ会ってなかったし、人を殺したりなんかもしなかった。サニア地方の木下で気持ちよく昼寝してたら、ぽんぽんと肩を叩かれた。

「お兄ちゃん、こんな所で寝てると、風邪引くよ?」

目の前に立っているのは赤毛の女の子。4〜5歳だろう。

「お嬢ちゃん危ないからあっちいってな。お兄ちゃん、食べちゃうから。」

「お兄ちゃんがあたしを食べちゃうの?」

ちょっと怖がった様子でその子はオレを見た。

「そうだよ。焼いて、ソースかけて食べちゃうんだよ。」
「ステーキみたいに?」
「そう、ステーキみたいに。」
「キャッ!」

女の子はオレの後ろに隠れた。

「あたしのこと食べないで・・・」
「どうしようかな〜」
「怖いよぉ・・・」
「美味しそうだなぁ・・・・」
「美味しくないもんっ!」
「エヘへ、食べてみないと分からないよ?」
「キャっ!」

彼女とオレのいたちごっこはしばらくの間続いた。そのうちオレは疲れてきて、ストンとまた同じ木の下に座った。

「出ておいで・・・もう、食べないから。」
「・・・ぅ・・・」

女の子はどこからか現れた。

「おいで・・・お兄ちゃんがお話してあげる。」

その子を抱えると、ひざの上に乗っけた。

「どんなお話?」
「小さな村から大きな町に出てきたお話し。」
「うん」
「小さな村から出てきた男の子はね、お父さんとお母さんにお家から追い出されちゃったんだ。」
「可哀想・・・」
「そしてね、その男の子は一人で生きていたんだ。」
「寂しかったの?」
「そりゃぁ寂しかったさ。でもね、大きくなったらその男の子はお友達が出来るの。」
「誰?」
「赤い髪の毛の可愛い女の子。」
「2人は結婚するの?」
「う〜ん・・・どうだろうね?」
「分からないの?」
「まだその男の子のお話の最後が分からないからね。」
「ふ〜ん・・・」

そういうと女の子はオレの膝から降りた。

「お兄ちゃん今日は遊んでくれてありがとう、あたしもう帰らなきゃ。」
「そうなんだ・・・バイバイ。」
「お兄ちゃんまた遊んでくれる?」
「いいよ、またおいで。」
「わ〜い!じゃ、指きりね。」

それ以来オレはサニア地方に行ってない。だが今日オレと彼女が再開するだなんて思ってもいなかった。

「やぁやぁ、君はあのときの女の子だね〜?これはびっくりしたな〜!」
「誰よ、あんた!?」
「君を膝に乗せて、お話をしてあげたあのお兄さんだよ、覚えてないポン?」
「お・・・覚えてなんか・・・!」
「どうなんだポン?」
「覚えて・・・る・・・?」
「おい、イリアっ!だれだよ、コイツっ!?」
「デュランだ・・・なんとかさん?人が思い出そうとしているときに話に割り込むのは良くないピョロよ?」
「うっせーってんだ!」
「あんた・・・前会ったよね・・?」
「そうだニョロ。」

今からまた何年ぶりに遊んであげるポン。

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