ルカイリ小説


□お化け屋敷
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「ぜーはーぜーはー」
「なによぉ?もう疲れたの?見っとも無いわね!」
「だって・・・さっきから激しい乗り物ばっかりだよ?」

銀髪の少年は青ざめた顔で勝気な少女を見上げた。

「乗り物全部乗ったし、帰ろっか?」
「あ・・・」
ルカは小さな屋敷の方に指を差した。
「全部じゃないよ。あれ・・・まだだし・・・」
「(ギョ)」
「フリーパスもったいないし、入ろう。」
「い・・・いや〜今日はもういいんじゃない?」
「せっかく来たんだし、行こうよ!・・・もしかして、イリア怖いの?」
「!!・・・なわけないでしょ!さっさと行くよ!おたんこルカァ!」

お化け屋敷は冷房がよく効いていて、いやなほど冷たかった。
「うぅ・・寒い!!」
「効果を出すためだね。さ、急ごう!」
「(冗談でしょ・・・)」

しかしルカはなにもいわずに黙々と歩いていった。

「(こ・・・怖くないの!?)」
「イリア!早く!」
「・・・そ・・そうね!」

廊下を歩いていくと、なんだか生臭いにおいがした。

「ん?なんか臭うね。」
「そうね」
「なんだろ・・?」

そのとき、薄明るい照明が匂いの元を照らした。「血の池」の上には、なにやら人らしきものがつるされていた。

「キャア!!」
「あ、な〜んだ、人形か。」
「(何で叫ばないの?あのおたんこルカ、こういうのに強いの?)」
「つまんないね、このお化け屋敷。」
「え・・・あ、うん。そうかもね」

次は、なにやらダイニング部屋についた。明らかに怪しいテーブルクロスがテーブルの下まで届いていた。

「いやぁ!」
テーブルクロスの下から手が出てきて、いきなりイリアの足を掴んだ。
「あ」
イリアはルカの腕にしがみついていた。
「イリア・・・痛い。」
「あ、ごめんごめん。」

その後、イリアは効果音や道具にいちいち反応していた。
「イリア、楽しそうだね。」
「うん、そうね。(どうして楽しそうに見えんのよ。)」

だが最後の決め手はやってきた・・・

「あ、後ろ。」
「え?ってキャアアアアア!!」
今まで遭遇してきたガイコツやら、ミイラやら、死体やらがいっせいに後ろから追いかけてきたのである。
「あはは、こりゃヤバイね。」
ルカは相変わらずのさわやかな笑顔で返事を返す。しかしイリアは黙っていた。
「イリア・・?」
「・・・ぁ・・・ぁ・・」

ショックのあまり、イリアは足がすくんで動けなくなった。そしてその場に座り込んでしまったのである。
「イリア?大丈夫?」
ルカがイリアの顔に覗き込むと、目には涙が溜まっていた。
「え・・・?」
「ぅぅ・・・」

ルカはイリアに手を差し伸べた。
「ほら、イリア。立って。」
イリアは差し伸べられた手をとった。
「いやぁ・・・怖いぃ・・」
「ごめんごめん・・・分かったからもう泣かないで・・・」
ルカはイリアの背中をさすった。
「大丈夫だよ。僕が・・・何があっても守ってあげるから・・・前にも約束したしね・・・」
「うぅ・・・ありがと・・・」
「もうすぐ出口だし、一緒に行こうよ。」
「うん・・・」

こうして2人の絆はまた更に深まった。

一方、後ろから襲ってきた霊獣どもは、この昼ドラ的な展開を見逃さないように、陰に隠れてそっと見ていたとさ。

――――――――――
イリアはお化け屋敷が苦手だといいなぁと思います。
でもルカキュンはなぜか平気みたい・・・w

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