Twin

□第二章 異界の末裔・世界の規律
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 その昔、居場所もなく、世界をさまよう人々がいた。

 異界の人間、彼らはそう呼ばれ、忌み嫌われた。


「どこか、落ち着いて暮らせる場所はないだろうか」


 年齢以上に年老いて見える男が呟いた。


「俺たち、異界の人間の居場所なんて……この世界にはないのさ」


 こちらも、まだ若そうに見えるのに、もう諦めの入った言葉が出た。

 彼らには、希望がなかった。

 異界から見知らぬ世界にやって来て、寄り添い、生きてきた彼らだが、もう限界も近かった。

 その頃だ、手が差し伸べられたのは。


「行く場所がないのなら、私たちのところへ来ませんか? あなた方に居場所を与えましょう」


 微笑んで、彼女たちは手を差し伸べた。

 背中に翼を持ち、空に住まう天使たち。

 彼らは、その手をとった。






 それまで、世界の規律は守られていた。


 陸は人間を中心にして


 空は天使を中心にして


 世界の規律は保たれていた。



 その規律が破られたのは、異界の扉が開いた、その時。


 
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