Twin
□第二章 異界の末裔・世界の規律
1ページ/58ページ
その昔、居場所もなく、世界をさまよう人々がいた。
異界の人間、彼らはそう呼ばれ、忌み嫌われた。
「どこか、落ち着いて暮らせる場所はないだろうか」
年齢以上に年老いて見える男が呟いた。
「俺たち、異界の人間の居場所なんて……この世界にはないのさ」
こちらも、まだ若そうに見えるのに、もう諦めの入った言葉が出た。
彼らには、希望がなかった。
異界から見知らぬ世界にやって来て、寄り添い、生きてきた彼らだが、もう限界も近かった。
その頃だ、手が差し伸べられたのは。
「行く場所がないのなら、私たちのところへ来ませんか? あなた方に居場所を与えましょう」
微笑んで、彼女たちは手を差し伸べた。
背中に翼を持ち、空に住まう天使たち。
彼らは、その手をとった。
それまで、世界の規律は守られていた。
陸は人間を中心にして
空は天使を中心にして
世界の規律は保たれていた。
その規律が破られたのは、異界の扉が開いた、その時。