短編小説

□鳥の話
1ページ/10ページ



その鳥は、とても知識が豊富だった。


「私たちの世界は、生きようとする力で成り立っているのだよ。

全ての生き物は、食う・食われる、という関係で繋がっていてね。己が生きるために、他を食い、他を生かすために己が食われる。

そして、自分の命を子孫へとつなげるんだ。子が生きると言うことは、己が生き続けることと同等なんだね」


暖かい日差しが差し込む森の中、たくさんの動物たちを前に、鳥は鋭いくちばしで優しく語る。

そこには大きな池があって、そのほとりの切り株の上で鳥は動物たちに話して聞かせるのだ。
いくつもの海を渡って旅した冒険談、冒険の中で得た知識、そして教訓など、鳥はたくさんのことを知っていた。

そして、鳥は長い旅路を重ねることで、やがてあらゆる言語を操れるようになったのだという。

 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ