短編小説
□いつも一緒。
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ベアはいつもトニーと一緒。
トニーはぎゅっとベアを抱きしめた。
彼が三才の誕生日に買ってもらった、ぬいぐるみのベア。
ベアは三才のトニーと同じくらいの大きさで、ふさふさな茶色の毛。
小さな尻尾がついて、耳は垂れ下がっていた。そしてきらきらと光る、宝石みたいな真っ黒な瞳。
ぎゅっとするたびに、トニーは幸せな気持ちになって、ベアは温かい心をもらった。
トニーはご飯のときも、寝るときも、お散歩のときだって、いつもベアを抱きしめた。お風呂の時だけは、ちょっぴり離れた。
「トニーがたくさんたくさん抱きしめて、温かい心をくれるから、僕は心を知ったんだよ」
ベアが言うと、トニーは嬉しくなって、ぎゅっとベアを抱きしめた。