短編小説

□ラーメン屋で
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 ズズ……。


「だからさぁ、本当に嫌なやつなんだよな」


 可愛らしい制服を身にまとう少女は箸をくるくると手の中で回す。ズズ……。


「今日は人生手もっとも最悪な日だったね」


 ズズズッ。ゴクン。


「……ご馳走様」


「ってあんたは人が真面目に話してる横で、ズズ……とか、ゴクンとか……」


 少女はゆっくり箸を置く隣の少女を見ると、効果音を真似してみる。

 そして、バンッと勢い良く机を叩いた。


「ラーメン食ってんじゃない!!」


 叫ぶ少女の名前は渚(ナギサ)。

 茶色に染まった髪は肩をずいぶんすぎた辺りまで伸びていて、制服のスカートは膝よりずいぶん短い位置にあった。

 対して、渚の横に座るのは彼女の親友である千那(チナ)という名の少女。

 やる気のなさそうな黒い瞳に、肩につかない程度の髪は女子にしては短いだろう。

 丁度膝のあたりに調節されたスカートは教師が文句を言ってこないぎりぎりの位置。

 そろって高校二年生の二人。

 そんな二人が今いる場所はとあるラーメン屋。

 辺りがもう暗くなりかけてきた頃だった。


「で、話しって何? 聞くからさっさと話して」


 そっけない口調だった。しかしこれはいつもの千那の口調なので渚は大して気にすることなく、自分のラーメンを放置して話を始める。

 
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