短編小説

□時の君〜in winter〜
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時の君〜in winter〜




去年、雪の降る日を最後に私はその歌を歌うのを止めた。

誰かに届けば良いと思ったそれは、否定されたまま私の奥底にしまわれた。




やがて春になって、私はその歌を聞いた。


まだ登校には早い時間、歌を口ずさみながら目の前を通過する人。


私に気が付くと、素知らぬ顔で歌を止め、意識して私を無視しながら行ってしまった。


メロディーも、音程も少しおかしい。

なんなら歌詞も違う。


それでも間違えるはずがない、あの歌は確かに私の歌だ。


あのけしてうまくない歌声が、かつて否定されたはずの歌を、そして私の全てを、肯定した。




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