短編小説

□願いを叶える魔法使いの手
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 ある老人は、両手いっぱいの魔法の小瓶を手に入れて「これで、君を幸せにするよ」とベッドに寝た老婆に微笑みかけるのです。




 ある少女は、たった一つの魔法の小瓶を大事に抱えて「これでパパとママが仲直りしてもらうんだ」と無邪気に笑うのです。




 ある中年女性は、コレクションのように魔法の小瓶を本棚に並べて、それを眺めるのです。

「これで、いつでも夫の暴力から解放されるわ。姑の嫌がらせだってなくなる。子どもの反抗期だってなくせるの」と薄く笑うのです。




 ある男は、盗んだ魔法の小瓶を持って走っていました。

「はぁはぁ……これで俺は、やっとまともな職に就くことができる」男は歓喜に震えていました。





 
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