短編

□詐欺(ペテン)師の強み
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―言うまでもなく、人なんかいくらでもおるし、男が好きという訳では決してない。

仁王「のぅ、手塚」
手塚「…」
仁王「手塚」
手塚「…」
仁王「…人が呼んどるときは…」

―バサッ

仁王「返事くらいしんしゃい!」
手塚「!」

そう言って、仁王は手塚の読んでいた本を取り上げました。

―…第一、その程度の理由でこんなお堅そうなのにちょっかい出そうなんて流石に思わん。

手塚「いきなり何だ?」

―普段冷静な人間程、怒ると怖いのは実証済みじゃけんのぅ。

仁王「いきなりじゃなか。さっきからずっと呼んどるじゃろ?」
手塚「あ…そうだったのか。すまない」

自分の非を認め、手塚は仁王に謝りました。

仁王「…くっ…くくくっ……」
手塚「…何がおかしい?」

―まぁ確かに、からかいがいがありそうなんは、反応から十二分にうかがえるがの。

仁王「お前さん、本当に馬鹿正直じゃのぅ」

手塚は、何時も仁王の悪戯心を突き動かしていました。
ですが、手塚はその辺にいる普通の人とは違いますし、ましてや彼には、自分の他にも狙っている者が大勢いるのです。
手塚と同じ学校に通う者は勿論、他の学校にも、そして、自分と同じ学校にもいます。
見るからに本気の者、からかうだけのつもりが自ら溺れるはめになった者、未だに本気か遊びか分からないような者まで…。本当に、年齢も性格も皆バラバラで、周囲にいる者を虜にしてやまない人物なのです。

手塚「?」

これからだって、そういう人間が増えていくというのは、数日共にいただけでも目に見えて分かります。
暇潰しに選んだにしては、相手が悪過ぎるのです。下手にちょっかいを出そうものなら、手塚を狙う面々を思い浮かべていくと自分の無事は保障できないでしょう。

でも、これでもコート上の詐欺(ペテン)師と呼ばれた男です。
全力でいけば、それなりにライバル達と対等に渡り合っていけるはず。

例え誰を敵に回そうとも、それで手塚が手に入るなら…神でさえも、欺いてみせる。

仁王「そんなことより、もっと近くに寄りんしゃい」
手塚「?…何だ?」

仁王は、用があるのだろうと思って傍にきた手塚の服の下から手を入れました。

手塚「っ…//におっ…!?//」

手塚は服の下から直接腹部を撫でられ、仁王の手が偶然ではなく、本人の意思で動いていると分かり慌てて逃げようとしますが、手塚が逃げるよりも先に、仁王の空いている方の手が手塚の腕を掴みました。
そして、手塚はそのまま腕を引かれ、仁王に抱きしめられました。

手塚「えっ…に、仁王…?//」
仁王「隙だらけじゃよ?手塚…そんなことじゃ、この先が思いやられるのぅ」
手塚「なっ…//仕方ないだろう!?突然こんな…」
仁王「もういいき、少し黙りんしゃい」

仁王は手塚の唇に己のそれを合わせました。唇が重なるだけのものから、徐々に深いキスへと変わり、手塚は仁王の舌と上昇した熱に翻弄されていきました。

手塚「んっ…ふぁ…//」
仁王「俺はお前さんの、そういうところも好きなんじゃき」
手塚「仁王…//」

手塚の唇を開放してから優しげに微笑んでそう言うと、仁王は再び手塚を抱きしめました。

仁王「…今日の、手塚、立海に来てくれたじゃろ?話かけようとしたんじゃけど、他の連中に先越されてのぅ。あいつらも、手塚のこと気に入っとぅき、仕方のないことなんかも知れんけど…手塚が、すごく遠くに感じたぜよ」
手塚「仁王…」
仁王「手塚は幸村と楽しそうに話しとぅし…」(と言っても、正確には幸村が1人で楽しそうに話しとっただけなんじゃき、いちいち気にしても疲れるだけなんじゃけどのぅ)
  「それだけじゃなか。赤毛とワカメまで邪魔してくる始末じゃ」
手塚「…すまない」
仁王「もう気にしとらんぜよ」(本当はかなりムカついとぅのが心境なんじゃけど…)
  「隙だらけのお姫さんを守るのは、俺の役目じゃ。手塚は俺が守るき、安心しんしゃい」
手塚「誰が姫だっ!//」
仁王「照れとるんか?その顔もかわいいぜよ。…ただし、守ってやる見返りはもらうがのぅ?(妖笑)」
手塚「えっ…うわっ!//」

そう言ったかと思うと、仁王は突然手塚を抱き上げました。

仁王「女の子はもっと警戒心をもたんといかんぜよ?」
手塚「俺は男だ!//」
仁王「ククッ…そうだったのぅ」

手塚は仁王の視線が自分の腰辺りに移ったことに気づきました。

仁王「…のわりには、随分細い身体しとるのぅ?」
手塚「言うな!それを」
仁王「褒めとるんじゃよ?」
手塚「…//」

仁王の瞳に見つめられると、手塚は納得がいかなくても何も言えなくなってしまいます。

仁王「何か…大切に扱わんと、壊れてしまいそうじゃのぅ…」

仁王はまるで独り言を言うかのように呟いて、手塚の首筋に口づけました。

手塚「!?//やっ…におっ…//」

手塚は慌てますが、仁王に抱き上げられ身体が宙に浮いている状態なのでろくな抵抗はできません。

仁王「何じゃ、手塚…感じとぅんか?(妖笑)」
手塚「なっ…そんなわけがあるか!?//」
仁王「煽らんでも、ベッドでたっぷりかわいがってやるき」
手塚「ふっ、ふざけるなっ!//さっさとおろせ!//」
仁王「プリッ…駄目じゃ」
手塚「仁王!//」
仁王「騒ぎなさんなって。俺がみすみす逃がすわけがないじゃろう?」

仁王は手塚をベッドにおろし、自分もベッドにのると手塚の両腕をそれぞれ掴み、そのまま押し倒しました。

手塚「はっ…離せ!//仁王、ふざけるのもいい加減に…//」
仁王「何回言えば分かるんかのぅ、お前さんは…?俺は手塚を手放す気はないし、ふざけてもないぜよ。ましてや…他の誰かに渡すつもりもないナリ」

口調だけでは読み取れない程真剣な仁王の表情から、手塚は目が離せませんでした。
一方仁王は、手塚の腕の力が抜けたことを確認すると、しめたとばかりに手塚の唇に口づけました。
手塚がもう何も考えられなくなるくらい熱いキスを繰り返すと、仁王は片手を手塚の着ている服の下から進入させて胸を愛撫し始めます。

手塚「んっ…!?//やっ…//…におっ……//」

手塚は必死に抵抗しようとしますが、思うように力が出せません。

仁王「…どうしたんじゃ?手塚。ココ、固くなってるぜよ?」

仁王は意地悪く言い、そのまま手塚の服を捲り上げて反対側の胸の突先を甘噛みします。

手塚「ひゃっ…//や、やめっ……//」
仁王「随分と感じやすいんじゃな?」
手塚「〜っ…//」

仁王は手塚の首筋に舌を這わせ、手塚の反応を楽しみます。

手塚「やっ…んっ……//」
仁王「ククッ…そろそろ下もかわいがってやらんとのぅ?」

仁王は手塚の下腹部に手を伸ばしました。

手塚「!?//やっ…やめっ……//」

手塚は必死に制止をかけようとしますが、仁王は全くやめようとする気配がありません。むしろ、手塚の反応を楽しんでいるようです。

仁王「お前さんの慌てた顔、かなりそそるぜよ」

手塚は羞恥心で赤くなり、生理的な涙を浮かべたまま仁王を睨みつけました。

仁王「…手塚。いくら俺でも、あんまり煽ると手加減できなくなるぜよ?せっかく優しくするつもりでおったのにのぅ」
手塚「ふざけ…るな//」
仁王「俺は手塚に関しては何時も本気じゃ。本当は、もっと時間をかけて確実におとすつもりでおったが、お前さんは少し…モテ過ぎナリ。おかげでじっくり対策を考える時間すらなかったぜよ。早めに行動おこさんと、横から掻っ攫われたらたまらんからのぅ」

仁王は手塚のズボンのファスナーに手をかけました。

手塚「仁王っ…!?//」
仁王「優しくするき、力抜いて、大人しく寝ときんしゃい」

そう言って、仁王は手塚のズボンと下着をおろし、自身を取り出しました。

仁王「お前さん、ずっと我慢しとったんか?こんなに固く…」
手塚「言うなっ!//」
仁王「ククッ…すぐによくしてやるき」

仁王は手塚の自身を強弱をつけて揉み始めました。

手塚「っ…//」
仁王「手塚、声出しんしゃい。せっかくいい声しとるんじゃき、もったいないぜよ」
手塚「やめろ…仁王…//」

手塚の制止を聞かず、仁王は手塚の自身を口に含んで、丁寧に舐め始めました。

手塚「うわっ…!?//に…仁王……//」

手塚は、今まで我慢していた羞恥心も加勢して、生理的なものであるかはともかく、本当に泣き出してしまいそうな表情になりました。

仁王「手塚…これ以上急かさんでほしいぜよ。俺は…お前さんを傷つけたくないんじゃき」

普段の仁王らしからぬ、余裕がなくなって追い詰められたような表情になり、手塚は仁王がふざけてやっているとか、からかっておもしろがっているだけなのだという、これまでの仁王に対する拒絶や恐怖とも取れる感情がなくなり、仁王を受け入れようという決心が着いたのでした。

手塚「んっ……仁王…もう…//」
仁王「我慢せんでいいき、出しんしゃい」
手塚「うっ…くっ……//」

手塚は我慢しきれず仁王の口の中で果てました。

手塚「…すまない//」
仁王「謝らんでいいぜよ。それより手塚、もう落ち着いたかのぅ?」
手塚「えっ…?」
仁王「第二ラウンドを始めるぜよ?」
手塚「ま、まだあるのかっ?//」
仁王「もう限界じゃき、早ぅ横になりんしゃい」

横になれと言っておいてちゃっかり押し倒している仁王は、手塚の中に指を入れました。

手塚「ひゃっ…//なっ、仁王……//」
仁王「くっ…やっぱり、少しキツイかのう」
手塚「仁王…//」
仁王「大丈夫じゃき、力抜いときんしゃい」
手塚「あ、ああ…//」

仁王は徐々に柔らかくなってきたソコに指を1本ずつ増やしていき、ようやく3本目が入りました。

手塚「あっ…やっ……//」

手塚は慌て始めました。先程までゆっくりだった仁王の指が、不規則に動き出したのです。

手塚「やめっ…あっ…//やっ…やだ……//」
仁王「何が嫌なんじゃ?手塚。こんなに締め付けて…」
手塚「あっ…//そこっ、は…//」
仁王「ここか?」
手塚「ああっ…!//」

仁王は手塚の一番感じるところを突き上げます。

手塚「あっ…あぁっ…//」
仁王「もう…よさそうじゃな」

仁王は指を抜き、手塚は呼吸を整えようとします。

手塚「はぁ、はぁ…//」

手塚は仁王が自ら自身を取り出したことに気づき、思わず後ずさります。
仁王を受け入れる決心が着いたとは言え、何もかもが初めてのことである手塚には何をどうすればいいのやらさっぱりなのです。

仁王「俺に任せて、言う通りにしんしゃい。手塚が痛かったらすぐやめるき」
手塚「あ…ああ……//」

仁王は自身を手塚の中にゆっくり挿れていきます。

手塚「んっ…あっ、仁王っ…//」
仁王「手塚、動くぜよ?」

手塚は涙を浮かべたまま頷きました。

手塚「あっ…あっ、やっ…//ああっ…んっ…//」
仁王「手塚…愛してる」

仁王は手塚の中に欲を放ち、2人一緒に果てました。

仁王「手塚、俺にはライバルと対等に戦える詐欺(武器)があるき、他の連中なんかに負けんから…俺の傍に、居てくれんかのぅ?」

―例え、この身が朽ち果てようとも…俺は、お前さんを誰にも渡さない。
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