約束

□プロローグ
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幼い頃
誰しもが持っていても不思議ではない
曖昧で不確かな“記憶”がある

すでにない者には忘れられているであろう
自分でもなぜか忘れられない、不思議な“感覚”

余程それが
自分にとって大切なもの(記憶)であるからか
内容よりも
その不確かで不思議なもの(感覚)に惹かれているだけなのか―

彼女のそれは
4年前の出来事であるが
決して薄れる事はなかった
夢か、現実か
確証のない問いかけに苦しめられる事なく
今日まで覚えてきたそれは
もう何年も昔の
“約束”

小さな石のついた指輪
当初は、指輪ひとつの意味も分からないままだった
受け取った時は、ただ綺麗だと、言った気がする
その指輪をくれた少年は、誰よりも仲が良かった男の子
でも、彼は指輪と引き換えにいなくなってしまった


―“必ず迎えに行く”

そう、言い残して…
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