◎種TEXT◎
□僕は貴方を…2
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自分で招いた結果にこんなに動揺してしまうなんて、僕もまだまだ覚悟が出来たつもりで出来ていなかったのかと、目頭が熱くなるのを必死で堪え乍ら、自分の情けなさを責める。
涙を堪えていると顔が俯いてしまってまともにギルの方が見られない。
何て格好悪いんだろう僕は…。
ギルの為に強くなろうと、頼れる男になるのだと誓ったのに…。
自分への自己嫌悪に、堪えていた涙腺が緩みそうになる。
ふわり、
……?
何か柔らかなモノが触れる。
そして、
何か温かいモノに包まれる感触。
『…?…ギル…?』
『済まないね…レイ』
『私の煮え切らない反応が君をそんなに追い詰めて傷付けていたなんて、知らなかったよ…』
いつの間にか、ギルが傍に来て僕を優しく抱き締めてくれていた。
『ギル…、スミマセン。私はギル…、貴方を守りたい。貴方に安心して頼って貰える様な人物になりたいんです』
『好きな人は自分の手で守りたいと、そう思うでしょう…?』
『だから、大切な貴方を守りたいんです。ギル…』
僕は、少し躊躇いがちにギルを見上げる。
『でも、それだけじゃないんです。…僕はとても汚い感情を持ってしまったんです』
『僕は、ギルが…』
『僕は、ギルが…欲しいんです』
『…僕だけのギルにしたいんです』
僕は、云ってしまって急にギルの顔が見られなくなってしまう。
恥ずかしい…。
僕は何と傲慢で自分勝手な事を云っているのだろう。ザフトの最高協議会議長であるギルを独占など出来る筈など無いのに…。
でも、ギルの「特別」になりたかった。
「保護」や「庇護」の対象の「特別」ではなく、「対等」で「信頼」出来る「特別」の地位が欲しかった。
それかせめて、出来る事ならラウやギルと同年代に生まれて来たかった…。
僕はこの時、本当に心の底からそう思ったのだった。