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□ジェラシィ
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彼の腕の中には
ネコ。
ネコが、いる。
それに対して、笑みを零しているケンゾ。
僕は、それが気にくわない。
彼の腕の中に、僕の知らない女。
女が、いて。
そのヒトに対して、愛を囁くケンゾ。
僕は、それを見てしまった。
そんなところだ。
それさえ、見なかった、ことにしたかった。
僕はケンゾの腕の中のソレを、睨みつけた。
泥棒猫とはよく言ったものだが、これが、まさに、そうだ。
ケンゾは、気付かない。
僕は目線を戻して、宙を睨んだ。
咥えていたアイスのバーに、歯を立てて、奥歯で噛んだ。
にゃあ。
と、高い声で
ネコが嗤った、気がした。
*