お遊び

□死化粧(仮)
1ページ/3ページ


ひさしぶりに間近で対面した彼女の顔は、不気味なほど整った化粧をして眠っていた。


もう、この化粧顔は動かない。

笑わない。


「お…おねえちゃん…」

俺のとなりで、シャーリィが両手で顔を覆っている。
ああ、シャーリィ、まだ涙、残ってたんだな。



声をころして泣くシャーリィから目を移し、葬儀の場に横たわる彼女の姿を見下ろす。

さらりと塗られたおしろいに薄いチークがのり、閉じた瞼に沈んだ青。
褪せた血の色のような口紅が彼女の唇をいろどり、乱れていたブロンドはきれいに梳いてもらっていた。

眠る顔はよく知っているものだったのに、その彼女がよくできた人形になってしまっていた。




セネルはうつむき、そんな現実を拒んでいた。

もう少し、まだお前が生きてるって思っていたい。





次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ