11/12の日記

22:31
ゾロ(パラレル)
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ゾロ誕1日遅れ。
たぶん高校生…にしては幼いかな…?





欲しいものは一つ





ゾロは後悔していた。
今まで微塵も気にしたことのない自分の誕生日をいつも通り過ごしてしまったからだ。
平日であったならば誰か彼かが気付いてくれたであろう誕生日。
日曜日という休日にぶち当たったせいで特に何もなく、親が祝ってくれて終わった。
それ自体には何の不満もないのだが、あとは寝るだけという状態になってふと頭に浮かんでしまったのがいけない。
クラスのきんきら頭のことを。

きんきら頭はサンジといって、自他共に認める料理上手だ。
一年の冬に転校してきてから、バレンタインなどのイベントはもちろん、クラスの誰かが誕生日だというだけで特製ケーキを振る舞うほどのお祭り好きであった。
そんな彼にゾロはただならぬ想いを抱えていた。
有体に言えば一目惚れで、胃袋を掴まれたといっても過言ではない。
親友の域まで仲良くなったものの、サンジは筋金入りの女好きなので、見込みが無いのはわかっていた。
だからこそほんの些細なことで特別になりたかったのだ。
ゾロのためのケーキを食べてみたかった。

誕生日の夜にしょんぼりした気持ちのまま寝入り、朝を迎えた。
気分は晴れないが過ぎてしまったことは仕方ないと支度をして家を出ると、門の前にいるきんきら頭、もといサンジ。


「…え?」

「あ!おはよう、ゾロ!一緒に学校行こうぜ!」

「…おう」


仲が良いとはいえ、朝から待ち合わせるのは初めてだった。
なぜならサンジとゾロの家は反対方向にあるからだ。
わかってはいたが昨夜から落ち込み気味のゾロにとっては嬉しいサプライズだった。
誕生日は終わってしまったが、プレゼントをもらった気分だった。


「あのさ…」


暫く無言で歩いていると、サンジがぽつりと呟いた。


「昨日誕生日だったろ?おめでとう」

「えっ…あ、おう…」


まさかサンジが知っていたとは思わず、ついぶっきらぼうな返事をしてしまった。
内心では嬉しくて叫びだしそうだった。


「あっ、ちゃんとケーキも作ってきたから昼に食おうな」


にっこり笑いながらケーキが入っていると思われる紙袋を見せてくれた。
無理だと諦めていたものが一気に現実になって、当日ではないが幸せな誕生日だと思った。


「ありがとう」


今度こそとゾロはしっかり礼を言い、サンジに微笑み返した。
一瞬驚いた顔をしたサンジだったが同じように笑みを浮かべてどういたしましてと応えた。


クラスの誰かが誕生日の時はクラス皆で祝っていたが、教室に着いてからサンジは何も言わなかった。
昼時になるとゾロを誘って屋上へ向かい、ケーキだけではなく、ご馳走まで振る舞ってくれた。
サンジも料理も独り占めできている状況に夢なんじゃないかと思ったくらい、ゾロは幸せを噛み締める。


「このまま俺のものになればいいのに」

「…ぇ…」

「……!!」


お互いに顔を見合わせたまま固まってしまった。
先に動いたのはサンジで、ゾロから目を逸らして口を開く。


「…た、誕生日プレゼント、やるよ…好きなもん、い、一個だけな…」


そう言ったサンジの顔は真っ赤で、言われたゾロはそれ以上に真っ赤だったが、迷わずにきんきら頭にキスをした。





おわり

はっぴーばーすでーゾロ!
今年も変態ってくらいサンジらぶでいてね!←

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