06/11の日記
23:37
ゾロ(パラレル)
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トレーナーのゾロとイルカサンジ
※サンジが本当のイルカです。
※ファンタジー
※にわか知識
※まさかの続き物。誰得。
※俺得です。そんなでもよければ(><)↓
マーメイドキッス
砂浜に打ち上げられていた瀕死のイルカ。
満月色に輝き、宝石のような青と金のオッドアイ。
そんなイルカが発見されたことは世界中を駆け巡ったニュースになり、研究者たちがこぞってイルカの生態を調べたがった。
しかし救出のために受け入れた地元の水族館はそれらを全て拒否し、弱りきったイルカの治療に専念した。
イルカを発見したのは水族館に勤めているトレーナーのゾロだった。
初めてイルカと対面した時、こんなに美しい生物がいたのかと自分の目を疑った。
呼吸をするだけで精一杯のイルカはゾロを見て助けを求めるように弱々しく鳴いた。
涙を流すかのように潤んだ瞳に心を打たれた。
水族館に運ばれてからは寝る間も惜しんで看病に徹した。
その甲斐あってか、元は野生とはいえゾロに懐いたイルカはそのまま水族館で飼育されることになった。
もちろん担当はゾロである。
海に返す意見もあったのだが、傷だらけの体は同族に負わされた可能性が高く、野生に戻してもまた同じことになるだろうという専門家の判断をとることにしたのだ。
他のイルカたちの水槽に移そうとすると怯えたように激しく暴れるのがそれを裏付けた。
それから怪我が完治し、医者からの了解を得て新しい水槽に移した。
三時に保護されたことからサンジと名付けられたイルカはあっという間に水族館の名物になった。
一目見ようと世界中から観光客がやってくるのだ。
美しいイルカはサービス精神に溢れているのか、誰に指示されたわけでもないのに客が喜ぶようなパフォーマンスを進んでやった。
人に見られることでストレスが溜まるのではという心配が杞憂に終わり、ゾロを含む職員達はほっとした。
閉園した水族館で、ゾロはサンジの水槽の掃除をしていた。
ゾロが左右に動く度について回るサンジに笑いながら返事は無いとわかりつつ話し掛ける。
「今まで海で泳いでたのに狭ぇよなー…」
サンジのためを思えば野性に返し、広い海で泳がせたかった。
しかし専門家が推測したことは心配だったし、ゾロ自身サンジと離れたくなかった。
「こんな綺麗だもんな、妬まれたのか」
頭だけを出しているサンジの鼻先を撫でれば、嬉しそうにキュイッと鳴いた。
ゾロの手のひらに懐くように身を寄せる様子が犬や猫のようで笑ってしまった。
「ははは!お前本当に変わった奴だなぁ!」
今まで世話をしてきた動物たちも可愛かったが、こんな風に懐いてきたのはサンジが初めてだった。
餌を求めるわけではなく、ただゾロに構ってもらおうとする。
しかもサンジはゾロにしか懐かないのだ。
そんなサンジを特別に思ってしまうのは仕方ないと誰にでもなく言い訳して、ばしゃんとサンジのプールに飛び込んだ。
「ほら、一緒に泳ごう」
ゾロが先導して先に進めば、意図を理解したサンジがゾロの横にぴったりついて泳いだ。
さすがに遊び過ぎたかという時間が経ち、水から上がれば聞こえてきた拍手。
「あ、館長!」
「お疲れ様、いやー見事な泳ぎっぷりだね」
「…すみません…」
「あ、責めてないからねぇ〜」
一応は業務時間なので怒られて当然なのだが、この館長は変わり者だ。
若い頃に海で子供を助けたせいで片腕を失ったらしいのだが、怖い雰囲気など微塵もなく、ハンデがあるとは感じさせないくらい何事もそつなくこなした。
「どうだゾロ、お前サンちゃんと一緒にイルカショー出ねぇか?」
「!!…サンジを他のイルカたちと一緒にするのは賛成しかねます…」
イルカショーはゾロが常々思っていたことだ。
何も教えていないにも関わらずゾロの言うことを理解するサンジ。
ショーに出れば今以上の人気が出ることは間違いなかった。
だが他のイルカたちと同じプールで演技ができるとは思えなく、何よりサンジをまた怯えさせることはしたくなかった。
「わかってるよ、だからお前ら二人の枠を作る、その時間は何をしてもいい、好きなことをやれ」
「はぁ!?」
いくらサンジが人気とはいえ、そんなことをしていいのだろうか。
「サンちゃんならきっとお前の期待に応えてくれるよ」
「………」
「まぁ、いつまでってのはねぇからゆっくり考えてみてよ」
じゃ、ほどほどに。と手をヒラヒラさせて立ち去ってしまった。
「…ショーか…」
サンジなら絶対にどのイルカたちにも負けない一番のパフォーマンスができる。
その自信はあったが、他のイルカと同じことをしてもつまらなくはないか、そうも思っていたのだ。
前々からやってみたいことがあった。
サンジならやれる気がした。
「お前、俺と一緒にショーに出るか?」
意味などわかっていないだろうに、サンジは元気よく鳴いた。
next...?
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