05/17の日記

05:00
トラゾロ(パラレル)
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トラゾロと子ギツネサンジのお話。
イメージは獣耳とかじゃなくて本物の獣。





お前うまそうだな





木の周りをぐるぐる回るきんきら子ギツネ。

ふわふわゆらゆら、ぴるっと動く耳やら尻尾やらがちらついて仕方ない。
そんでも我慢だ。まだ我慢。


“狩り”は一瞬の好機を掴むか掴まないかなのだ。


トラは少し離れた木の影からじっと見つめていると、忙しなく動いていたキツネがぴたりと止まった。
どうやら木の根本で何かしているようだ。

今だ、と思い飛び付いた。


「ぎゃ!!!」


むんずと捕まえた尻尾は想像以上にふわふわしていてびっくりした。
同じく急に尻尾を掴まれてびっくりしたキツネはジタバタと暴れているが、ちっとも意味がない。


「はなせバカ!おれはうまくねーぞ!いや、うまいがうまくねぇ!!」


うまそうだと尻尾を見つめていればそんなわけのわからないことを言ってきた。


「はぁ?」

「おれのつくるメシがせかいいちうまいんだからそのメシをつくるおれだってうまいはずだ!」


片っ方しか見えない大きな目に涙が溜まり揺れている。
ぎゅいっと引き結んだ口元と真っ赤な頬、でも青ざめた表情。


「…………」


じぃっと見つめていたらその大きな目からポロリと水が溢れた。
それが凄く綺麗に見えて、世界でたった一つの宝物のように大切なものな気がした。
だから咄嗟に舐めてしまった。


「!!!!!」


キツネは驚きのあまり固まってしまった。
舐めた涙の味はしょっぱくて甘くて悲しい味がした。


「………」

「………」


お互いに見つめ合っていると、ぶるぶると震えだしたキツネが言った。


「…くうならまるのみにしてくれよな、いたいのはやだ…でもあじわえ」


それだけ言うと宝石みたいな涙をたくさん溢して俯いてしまった。

小さなきんきら子ギツネ。
食べるつもりで狩ったが、食べてしまえばこのキラキラは見れなくなって、ふわふわも感じられなくなってしまうのだ。
それはなんだか惜しい気がして、トラは迷った。



そして決めた。



「おい、キツネ。泣くのはやめろ」

「え?」

「今、お前を食うのはやめた。だからお前が何か食わせろ」


世界一なんだろ?と見つめれば、キラキラ涙を引っ込めて笑った。


「おれのメシはうまいぞ!かくごしやがれ!」


今まででいちばんのキラキラだった。

このキツネを食べるのはまだ先でいいだろう。
もっと大きくなればその分腹も膨れる。
それまでにふわふわを堪能すればいいのだ。
これも言わば一瞬の好機。
長期的な狩りだと思えばいいのだ。


「よし、行くぞ」


きんきら子ギツネ背に乗せて、トラはゆっくり歩き始めた。
その後ろ姿、トラの太くて長い尻尾は楽しそうに揺れていた。





END



同名の作品からインスパイア。
内容は全然違います。

このトラ(ゾロ)が骨抜きにされるのは時間の問題。
ちょっとゾロサン寄り?
しかし子ギツネ(サンジ)育てば変わるかもだよという未来示唆をしてみる。
結局はどっちでも萌えるという結論。

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