11/17の日記

02:14
(パロ)サンジ
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荒○アンダーザブリッジにインスパイアされました。
むしろパロになりました…?
サンゾロ色強め。
原作は読んだことない…ので設定お借りした感じで。
パロ元は知らなくても大丈夫だと思います。
頭の弱いゾロかもしれない。
何でもござれな方はどうぞ!









フォーリンラブ





「俺の恋人になれ」


世にも珍しい緑髪の男はそう言って穏やかに微笑んだ。



現実は小説よりも奇なりとはよく言ったもので。

その日、たまたま橋の上で一服しようとスーツの上着を欄干に掛けようとした。
その瞬間異常なまでの突風に吹き飛ばされ、それを追いかけて伸ばした腕は橋の欄干を越えた。
支えにもう片方の手を欄干についたら、ほんの数秒も保たずに崩れ落ちた。
欄干が崩れるなんて思わねぇだろ?
支えを失った体は当然橋上から飛び出し、上着は先に落下していく。
伸ばした腕は空しくも宙を掴むだけに終わった。
そのまま宙に浮いた俺は、さすがに俺の人生も終わったと思った。


遠くで水音が聞こえたような気がした。



目を覚ませば綺麗な青空。
仰向けに寝ていた俺はずぶ濡れで、死んでないことがわかった。
ぼんやりしていれば視界の端に揺れる草。


「大丈夫か?」


あ、草が喋った。


「おい、大丈夫か?」


ヒラヒラと目の前を行ったり来たりする手から飛ぶ滴。
そこでようやっと草ではなく、草色の髪の青年だと気付いた。


「…あんた…誰…」

「…ゾロ…」


ゾロと名乗った青年もどうやらずぶ濡れのようだ。
そこで一つの仮定が浮かぶ。


「もしかしてあんたが助けてくれた?」

「……」


コクン、と頷く様が見掛けに寄らず幼い。
その様子に気が緩み、自然と笑みがこぼれた。


「…ありがとな」

「!!」


なぜだかびっくりした顔をしている。
それがまた面白くて笑った。
しばらく笑って身体を起こす。
そこで気付いたが、腹に上着が乗っていた。
きっとこれもこの男が拾ってくれたのだろう。


「本当にありがとうな、何かお礼がしてぇんだけど…」

「お礼…」


ぽつりと独り言のように呟いたきり黙ってしまった男。
どうしたのかと窺い見ようとしたところで冒頭の台詞を吐かれた。


「…えっ…と……俺、男だけど?」

「…そんなの見りゃわかる…」


自慢じゃないが俺はわりとモテる。
不名誉なことに男にもモテるが、男は断固拒否している。
場合によっては蹴り飛ばす。
もちろん女に不自由したことはねぇ。
というか女の子は大好きだ。
愛すべき存在だ。
けれど愛故に一人に絞れぬまま、恋人という相手が出来ても長続きすることはなかった。
そういう理由で現在もいない。
しかし、男は…例え命の恩人にお礼をしようとしたって…。

ウンウンと唸っていれば、男は申し訳なさそうに声を出した。


「…やっぱ…ダメだよな…俺も男だし…女のがいいに決まってる」


俯いているせいで表情は分かりづらいが、姿勢良く正座した足の上で握り締めた拳が震えていた。


「俺、今日誕生日で…でもすることねぇし、ここで日課してたらお前が見えた…神とか信じてねぇけど、天使が落ちてきたと思った」

「…は…?」

「キラキラして綺麗だ」

「ッ!!」


そう言うお前の笑顔の方が…!!!!


「天使が見れた。誕生日に。礼はそれで十分だ」


本当に満足そうに笑う男。
その笑顔にやられた。
もっと色んな表情が見てみたいと思ったらもうダメだろ。
女の子は大好きで愛すべき存在だけど、男なんて絶対にごめんだけど、コイツは特別だ。
何てったって命の恩人だ。


「ゾロ…だよな?…礼はちゃんとする、今から俺はお前の恋人だ」

「え…」

「俺はサンジ、この近くのレストランでコックをやってる歴とした人間だぜ」

「さんじ…こっく…」


呆けた表情で俺を見つめてくるかと思えば、次第に口元が緩み、笑みが濃くなっていった。
そんなゾロがたまらなく可愛く見える。
自覚した途端にこれだ。


「これからよろしくな」

「ん!」


手を差し出して、握手をした。
この時、俺は新しい恋人との楽しいであろう未来に心が浮き立っていたため、若干冷静さに欠けていたと思われる。


後にわかったことだが。
ゾロはこの河川敷を住まいにしているらしい。
他にも河川敷の住人がいて、皆個性的な者ばかりだった。
その内の一人、蜜柑を育てている女の子と自称狙撃の王と話をして知ったゾロの日課。
もとい剣術トレーニング。鉄をも斬る刀捌きは度々橋を損傷させるらしい。
最近は気を付けているのだが、気分によって力加減を誤り、技を出してしまうとか。
要するに、あの時の突然の異常な風はゾロが繰り出した剣術だったのだ。
欄干を斬りつけ、たまたまそこにいた俺は落ちてしまった。
それをゾロが目撃して今に至る。
何もかもの原因はゾロであったという事実に俺は開いた口が塞がらなかった。


「誕生日プレゼント、自分で手に入れたのね」

「狙い撃ちとはやるなぁ、アイツ」





END



サンジくんが橋にいたのはたまたま。
ゾロは一目惚れ(笑)


追記。
またしても誤字修正。
深夜に仕上げるのよくないネ(笑)

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