お話

□頂き物/捧げ物
3ページ/5ページ

我慢と反省は明日から










特にこれと言った理由はないのだが、ゾロは今朝から無性にサンジに触りたくて堪らなかった。
二日前には体を重ね、昨日はキスをしている。
一週間お互いに触れない時だってあるというのに、サンジの言い方を借りればぐるぐる成分が不足している。
(サンジはよく「マリモ成分充電!」と言ってはひっついてくる)

しかしそんな時に限ってサンジは忙しく動き回っていた。
タイミングを伺っているうちに夜になってしまい、ゾロは落ち込むのを通り越して、苛ついていた。
最初は抱き締められれば十分だった欲求が、あまりにもサンジに触れないことにより、立派な性欲に変わった。
正直これ以上触れないとなると、ところかまわず押し倒してしまいそうだ。
そうするとしばらく話してくれなくなるのでできれば避けたい。
何度か実践済みなので間違いないはずだ。
要はサンジの同意をもらえばいいと気付いたのは何度目に押し倒してしまった時か…。
エロコックと呼んではいるが、サンジは存外分別がつき、理性的だった。
ゾロの方が大分野性的である。
やりたくなったらやる。
ゾロは本能のままに進む。
なので今夜もそうすることにした。


「おい、コック」

「ゾロ?どーした?」


明日の朝食でも決めかねているのか、いつもなら下拵えをしていてもおかしくない時間に嬉しそうにレシピノートを捲っていた。
これは思わぬ事態だとゾロは少し焦った。


「お、お前こそ何して…」

「ん〜?ちょっと悩んでてよ…使いたい新しい食材があるんだが、早く使わねぇと傷みそうなもんもあるのな、どうやって合わそうかなぁ…と」


やっぱり!!
ゾロはそう思った。
立ち寄った島で新しい食材を見つけると子供のように瞳を輝かせるサンジ。
どう調理しようか悩む時間は楽しいらしく、時間を忘れてあれこれ試す。
その間は話し掛けたのが誰であろうと若干うわの空という没頭ぶりだ。
酒をねだるには絶好のチャンスなのだが、今回ばかりは困る。


「…決まりそうなのか」

「…あー…っぽいのはあるんだけど付け合わせがな〜…うーん…」


困っているのは言葉だけで、全身から楽しいオーラが出ている。
そのオーラに嫉妬しそうだ。
俺に向けろと思った。


「…朝までかかりそうか」

「かもな〜…」


それは本当に困る。
サンジを前にして準備万端になった体の芯はすでに熱を持て余している。
ダメ元で聞いてみることにした。


「…今日は…やらねぇ?」

「…そーだなー…朝までには決めたいしー…」

「ちょっとだけでもやんねぇの」

「ゾロのちょっとって朝までだろ」

「………」


やけにきっぱり言われ反論しようかと思ったが、その通りだったので言い返せなかった。
サンジをその気にできればいいのだが、やり方を間違えるとただの邪魔にしかならず怒られる。
そうしないようにするにはどうしたらよいのか…。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ