WONDER WORLD
□Wonder world
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【ゼロ&
遊園地オーナー
メリー・ゴーランド編】
見知らぬ森に横たわっていた奴を見るのは今日で二人目だ。一人はマフラーをした青髪の青年、もう一人は現在、俺におぶさっているオレンジ髪のべっぴんさん。
「…今日は珍しい客が多すぎるな〜」
ぼんやりと呟きながら家へと辿り着けば青髪の青年が慌ただしく近寄ってきた。
「メリー!!!!」
「だから、そっちで呼ぶなって」
背負っていた女の子を優しくソファーの上へと寝かせると青髪の青年、ゼロは血相を変えパクパクと金魚のように口を動かしていた。
「マジかよ…おっさん。餓えてるからって女の子拉致るなんて。」
「バ、馬鹿違う!この子は森に倒れてたんだ!」
「へ〜、この子も余所者なわけ?」
疑いの眼を向け続けながら話をするボリスに怒りを憶える。だが、今心配なのは…
「おい、あんた?顔色悪いが大丈夫か?」
「おっさんの拉致行動がキモくてだよなー」
「ボ〜リ〜ス…、てめぇは黙ってろ!!」
「いや…その子、オレの仲間なんだけど」
寝ている少女に指を差しながら言うゼロに俺たち2人の声は夜の遊園地に谺した。
「こんな可愛い子があんたの知り合いなの?」
「失礼すぎね?」
「お前らなぁー…静かにしろ!!」
「おっさんの声が一番でけーよ」
事実を知った瞬間、二人に質問攻めをくらったオレは真樹が目覚めるのを今か今かと待っていた。
「う"ぅ…」
「真樹ッ!?」
苦しそうに眉間に皺を寄せる真樹の手を強く握るオレを横にボリスが心配そうに覗き込んできた。
「一昨日から寝ないだろ?あんたの変わりに俺が見とくから寝な?」
「…気持ちはありがたいんだけど、オレ、真樹が心配だか―…ッ?!」
「寝なよ。俺が変わるって言ってんの。それともこのまま永眠につきたいワケ?」
いきなり銃口を突き付けてくるボリスに目を見開く。こんな強引な交代の仕方は初めてだ。寧ろ脅迫の領域だ!
「…ハァ。んなことされたの初めて。分かった。真樹を頼むな?目覚ましたら起こしてな…」
言うや否や疲れのせいか、その場に横たわってしまった。
「お疲れ。ゆっくり寝なよ?ゼロ」
ボリスはゼロをソファーに寝かせると真樹と言う少女の隣に腰掛けた。