男性作家

□大崎善生
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アジアンタムブルー

2002
角川書店

 アパートの屋上。そこは葉子がまだ生きていた頃によく二人で訪れた場所だった。葉子を亡くしてから三ヵ月、隆二は会社が休みの日や二日酔いがひどくて出社する気力が湧かない日には、ほとんどと言っていいほどここに来ていた・・・。

 雑誌編集者の山崎隆二は新進カメラマンの続木葉子と出会い、二人は互いに惹かれ合い恋に落ちる。幸せな毎日が永遠に続くと信じていたある日、葉子は発病し、余命1ヵ月と宣告される。愛する人が死を前にしたとき、人はいったい何ができるのだろうか。
 アジアンタムはシダ科の観葉植物で、ハート型の葉を持ち女性に人気がある。だか枯れ始めると葉がちりちりに巻き始め、手の施しようがなくなる。だがごく稀にその憂欝状態から抜け出し、再び青々と葉を茂らせることもあると言うが・・・。本作はそんな再生の物語でもある。
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