男性作家

□大沢在昌
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天使の爪

2003
小学館

 「天使の牙」の続編。仁王とアスカが帰ってくる。前作を読まれた方ならご承知の通り、河野明日香巡査の脳は神崎はつみの身体に移植されてしまう。この事実は警察内でも機密とされ、それを知るのは一部の関係者のみだった。河野巡査は殉職扱いとなり、はつみの身体を持つ明日香は名を神崎アスカと改め、麻薬取締局に勤務することななる。無論、事情を知る警察幹部の手回しがあった。
 身体も大きく、自らも鍛えていた河野巡査時代のアスカは男勝りで捜査の現場で数々の活躍をしていたが、神崎はつみの身体は華奢で思うような動きができない。しかし持ち前のポジティヴな考えで、今の身体に折り合いを付けてやっていこうとするアスカ。だが捜査の現場を希望したアスカだったが、外見が災いして事務的な仕事しか与えてもらえなかった。そんな折り、一人の女が麻薬取締局を占拠し、交渉相手にアスカを指名した。だがそれはこれから展開する予想外の出来事の除幕に過ぎなかった。

 前作から大幅にスケールを拡大した作品。前作でアスカの脳移植を行なった天才外科医がロシアの情報局で再びとんでもない脳移植手術を行い怪物のような男を作り出してしまった。最後まで目の離せない展開で、満足の作品である。
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