男性作家

□大沢在昌
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黒の狩人

2008
幻冬社

 埼玉でバラバラ死体が見つかった。六本木ヒルズで働く中国人のシステムエンジニアと身許は判明した。その約2週間後、同じようなバラバラ死体が千葉で見つかった。身許不明だが、被害者は中国人で、同一犯の犯行の可能性があった。さらに東京で中国料理店経営者の中国人が車のトランクの中から発見された。それぞれの死体の左脇下に中国の道教の聖地「五岳聖山」の入れ墨があった。三人の交友関係は不明で、さらに二人いるはずの仲間も不明。新宿署のマル暴担当のベテラン刑事・佐江は、被害者加害者ともに中国人である可能性が高いこともあり、中国人の助手を付けられて特命操作を命じられるが・・・。

 登場人物が多く、しかも複雑な物語だが、大沢の作品だけあって一気に読ます力がある。最近の大沢は中国の黒社会をテーマにした作品が目立つが、この作品もそんな作品の一つで、中国の国家安全部も絡んできて複雑な諜報戦も繰り広げられる。黒社会や公安の実体について門外漢の私にはどこまで事実に迫っているのか判断できないが、あくまでエンタテイメント作品として楽しむべきであろう。
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