欧州文学

□ノルウェー文学
1ページ/1ページ

人形の家

ヘンリック・イプセン
1879

 ノラは弁護士ヘルメルの妻で、無邪気で明るい性格。ヘルメルはノラを愛し、常に大切にしており、ノラもまたそれに満足していた。ヘルメルはある銀行の頭取になることが決まっており、収入が増える予定であることが、家庭を一層明るくしていた。
 そんなとき、ヘルメルの留守を見計らって、クロクスタがノラのもとを訪れる。クロクスタはヘルメルのが頭取となる銀行に勤めているが素行に問題があり、ヘルメルはクロクスタを解雇しようとしていたのである。解雇をやめるようにとの嘆願だった。クロクスタはノラのある秘密を知っており・・・。

 世界的にイプセンの代表作とされる戯曲で、新しい時代の女性の姿を世に示した物語。
 何不自由なく暮らしていた主人公ノラが、ある出来事を契機に、生前の父や夫から、自分が人間として尊重されていたのではなく、あたかも人形のように慈しまれていたに過ぎないと悟る。その後のノラの行動は、保守的価値観の方面から批判も強く、発表当時は賛否両論が渦巻いた。フェミニズム運動の勃興とともに語られることが多い作品であるが、男女を問わず、ありのままの人間の生き方を捉えた作品であると思う。
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ