景時・譲

□君が居る時の天気
1ページ/1ページ




君が居る時の天気




洗濯物を取り込もうと濡れ縁に顔を出すと、景時はそこに先客を見つけた。


卯月の季節に相応しい、柔らかい風にふわりとたなびく紫苑の長い髪。

白魚のような繊手も、垣間見える横顔も、思わず触れたくなるほどに滑らかで。


声をかけるのも忘れて見とれていると、先客――望美が気配に気づいたのか振り返った。


「あ、景時さん」

「や、…日向ぼっこ?」


見つめていたのがバレてはいないか、という内心の動揺を悟られないよう問うと、望美ははい、と花が咲くように柔らかく笑んだ。


「あんまりいいお天気だから。日差しは暖かいし、風は気持ちいいし」

「そうだね〜」


心底同意の声をあげた。

今日は日差しが適度に差し込んできて、穏やかな風も初夏を告げるかのよう。


「景時さんも日向ぼっこしていきませんか?」



きらきら、と望美の目が輝く。自らの傍らに招く手に、景時はふらりとつられてやってくると、示された場所に腰掛けた。



望美の言うとおりに、さわさわと頬を撫でる風が気持ちいい。


庭に幾重にも張られたシーツも、今日干されてさぞ幸せだろう。


光をうけて真っ白に輝きはためくシーツを見ると、自然に頬が緩んだ。





洗濯物がとってもよく乾いて。


そして隣に君が居て。


それだけで、オレの中の天気は快晴が続く。





ことん、と肩に重みを感じたのはその時だった。


「望美、ちゃん…?」


「……えへへ」


肩に頭を預けてくる、その表情は見えないけれど。

くすぐったそうに笑う、照れた表情が目に浮かぶようだった。


「少しだけ、こうしていていいですか…?」

「……うん」



春の陽気のように、そっと触れて甘えてくる。


肩口に寄せられた頭をそっと抱き寄せて、景時は望美の頭に自分の額をそっと預けた。






END


★49 傍に、






今日がとってもいいお天気だったので…(*´∀`*)

いいお天気といえば景時ですね。ほわほわ。




20080421
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ