景時・譲

□君だけが知っている
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(…ん?)

譲は、何か気配に気づいてうっすらと目を開けた。


真夜中の梶原邸は、しんと静まり返っている。

譲ほか野郎共に与えられた広い部屋の中で、それぞれ個性の見えそうな寝息が聞こえてくるのみだ。


(何か聞こえた気がしたんだけど…)

再び眠るには、譲は目を覚ましすぎていた。
それに、眠りについたところで、浅い眠りでは悪夢に悩まされるだけ。

暗闇のなか手探りで眼鏡を捜し当てる。


周りの人間を起こさないよう気配を殺して、そうっと譲は部屋を出た。
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