小説☆烈火の炎

□花火
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「風子さん、花火いきましょ?」
玄関を開けると、そいつは立っていた。住所など、いつ教えただろうか?
「・・・雷覇くん?」
Tシャツに綿のパンツというラフなスタイル。雷覇は風子が開きかけた玄関の扉を自らもつと、にっこりと微笑んだ。

「今週末の花火、一緒にいきません?」
「今週末って、ああ、あの○○川の?」
「そうです。もう誰かと行く約束をしていますか?」
風子たちの住んでいる地域では一番大きな花火大会だ。
毎年土門や烈火たちと行っていたのだが、今年は烈火は柳と二人でいくであろうし、土門からはまだ、誘われてはいない。
「いや・・・」
「じゃあ決まりですね。では、週末の夕方に、また迎えに来ますね」

そう言い残すと、雷覇はさっと帰っていった。こんなに暑い真夏日だというのに、いかにも涼しげに。
風子は無表情をたもちながらも、少し頬を染めていた。
密かに想いを寄せている雷覇と、花火大会。
どんな浴衣を着ていこう?
というか、彼はどんな服装でくるのだろうか?

さまざまな想いを巡らせながら、風子は玄関を閉めた。
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