小説☆烈火の炎

□新年羽根つき大会☆
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新年羽根つき大会☆


1.


「あ、少し積もりましたね、紅麗様」
 朝一番に、ふすまをあけて外をみた雷覇は、まだ部屋の中で布団にくるまっている主に報告した。
「雷覇・・・寒い・・・」
「はいはい」
 少し甘えた声をだす紅麗に、笑顔をほころばせながら、雷覇はふすまをしめ、ようとしたそのとき。



「紅麗は〜〜ん、雷覇は〜〜ん」
 外から誰かがこちらを呼んでいる声がした。聞き覚えのある声に、雷覇はもう一度ふすまをあける。
「ジョーカー、それに小金井も。あけましておめでとう」
「おめでとっ!」
 雷覇は外に出て、二人を迎える。二人ともダウンジャケットに毛糸の帽子手袋までしっかりとつけて、防寒対策はばっちりである。それに対して雷覇は寝間着に羽織りを羽織っただけだったので、いささか朝の空気は肌寒かった。


「どうしたんですか?こんな元旦の朝から・・・」
「そら新年のあいさつやがな」
そういうと、ジョーカーは両手をこちらにむけて差し出してきた。
にこやかな顔。
「なんですか?この手は・・・」
「ほら、お年玉ちょうだい」
「・・・あなたが小金井に渡すならともかく、私があなたにあげるものなど、ありません」
「そんな殺生なぁ〜〜、それがもう小金井くんにあげてもたら、お金なくなってもてん。今月めっちゃやばいねん、金貸してくれ」
 雷覇は大きくため息をつく。
「お金を貸して欲しいなら貸して欲しいと、最初から言えばいいのに・・・」
「貸してくれるんか?ありがとーらい・・・」
「貸しませんよ」
 ジョーカーの言葉を遮り、ぴしゃりと言い放つと、雷覇は小金井に向かって微笑んだ。
「小金井のぶんのお年玉は用意しておきました、どうぞあがってください」
「やったぁ!!」

 雷覇のあとに続いて家に入っていく小金井。そのあとに、ジョーカーはしぶしぶと続いて入った。
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