小説☆烈火の炎

□雪景色
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しんしんと。雪が降る。

濁った雲がひろがっている、空の隙間から雪が降る。
真っ白なそれは、庭の木々にからめとられて、木々の腕に白を散らしていく。
白い粉を振りかけられたような木々は、ゆるやかにしなり、その重みを受け止めている。


木々は、辛くはないのだろうか。
よく、受け止めていられるものだ。
今の私なら・・・すぐになぎ払ってしまうのではないか・・・。


1本の背の短い木がしなり、それに積もっていた白い粉を振り落とす。
はらりはらりと舞い落ちる雪。
それらは地面へと落ちて、他の雪と溶け合っていく。
振り落とされたものたちは・・・落ちてしんでいくのか・・・?


私がきったもの達は・・・、今はいったいどうしているだろうか・・・



そのとき、そっと肩に何かがかけられた。
暖かいぬくもりの残ったそれは、あやつがいつも着ているコートではないだろうか?
ふと振り返ると、雷覇が赤くなった頬をあげて、笑っていた。手を冷たそうにさすっている。今外から帰ってきたのだろうか?

「紅麗様、そんなところで薄着でいては、お風邪を召してしまいますよ?」

そういうと、雷覇は私の隣に縁側に腰掛け、同じように外の景色を眺めた。

「積もりましたねー。明日にでも雪だるまとか作りましょうか?」
浮きだった声色で、にっこりと笑顔を向けてくる。

こいつは、いつでも大抵は笑顔だ。


たまに、その笑顔を奪ってやりたい時がある。
笑顔の仮面をかぶっている、その本当の素顔がかいま見えたときなどは、とくに。
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