テキはどこだ

□bentornato
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「10代目、ただ今戻りましたっ」
 何が楽しくて同い年の、しかもこんな怖い男から最敬礼で報告を受けなくてはならないのだろう。右隣へ擦り寄ってくる獄寺への恐怖と野次馬根性剥き出しの人々の視線に綱吉はパニック寸前でうっすらと涙ぐむ。
 そんな綱吉の心痛を余所に、獄寺は、主人に久しぶりに会えた事が嬉しくてならない。「荷物お持ちします」だの「オレがいない間に何か問題は起きませんでしたか」だの言いながら、あれこれと世話を焼き始める。
 イタリア帰りなんだからそっちの荷物の方が大きいのに何言ってるんだ、そもそも何で荷物持ったままこんなとこまで来てるんだよせめて一旦荷物置きに帰れよ、とか君が帰って来た事が一番の問題なんだけど、とか心の中ではいろいろ突っ込みながらも綱吉の口から洩れるのは、あー、とか、うぅ、とかの意味ない言葉で。(というか獄寺のハイテンションマシンガントークについていけず、マトモに話せなかったのだ。)
 だから、
「土産買って来たんスよ。気に入って頂ければ嬉しいっス」
満面の笑みでそう言われて初めて、帰って来た獄寺に何も言っていなかった事に気付いたのだ。
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